桜舞い散るフォーレの無言歌

遅かった桜も大方終わり、葉の色が濃くなってきた。
満開のあと、風が強い日があると花びらが雪のように舞う光景が見られる。
この光景をみるといつもイメージが重なる曲がある。
フォーレの無言歌(Op、17)の2曲目、イ短調の曲。
(私がそう思っているだけで、同調してもらったことはないのだが)

作品1曲目と3曲目は変イ長調の、単純にしてこれほど心安らぐ曲があろうか、
と思うほどの佳品だが
真ん中に挟まれた曲は趣を異にして、
16分音符が駆け上がったり駆け下りたり、手は忙しいのだが
決して激しい曲ではない。

〈階名で言うと)ド~シラド~シラ、レ~ドシレ~ドシ、ミ~レド、♯ファ~ミレ、ソ~♯ファミシ~~
という動きの少ないゆったりとしたメロディに、
かくもややこしいものをつけてくれたものだ、という装飾が付いている。
全曲通してめちゃくちゃ弾きにくい曲だ。

弾きにくい第一の原因は
(楽譜を参照してもらいたいのだが、)
桜舞い散るフォーレの無言歌_f0149240_15383735.jpg

ド~シラのメロディに対して右手も左手も出てくるたびに音が少しずつ変わっている。
全編、この調子である。
同じメロディなのに装飾される音がその都度違う、というのは
覚えの悪い私にはそれだけで難曲だ。

しかも、それは、出てくるたび、ほんの少しずつ色合いが変わる、つまり
プリズムみたいな効果があるから音を少しでも間違えたら台無しだ。

またフォーレのほかの曲もそうだが
メロディが右手でとったり左手で取ったりというのも慣れないと難しい。

難しいのを承知でやっぱりフォーレは弾きたい。
いくら弾いても近づけないのは
「どんなに思っても遠い存在」という憧れの人、という感覚に似ているけど
いつかはちょっとでも報われる日があるかもしれないので
あきらめずに思ってみる。

さて、この曲が「桜ふぶき」みたいに思うのは
ド~シラド~シラのメロディが舞い落ちる花びらで
左手が吹き上げる風、みたいに思えるからだ。
どことなく、日本的な感覚の旋律に思える。
フランスでいっとき流行った「ジャパネスク」がはいってるんじゃなかろうか?
と勝手に想像するが、たぶん、私の思い込みだろう。
それでもいい・・・・この時期にこの曲を弾いてみたい。
by nyanko715f | 2012-04-19 15:44 | ピアノ練習日誌 | Comments(0)

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