私説三国志「天の華 地の風」5  (江森備)

劉備亡き後、蜀の実質上の最高権力者になった諸葛孔明は
はるか西南の地(今でいえば雲南~国境のあたり)に乱が起こり
自らが軍を率いて征伐に乗り出す。

南蛮の地は漢人ではなく、いろいろな蛮族の住むところで、
なかでも孟獲は軍勢も多く、手ごわい相手であった。

「天の華 地の風」第5巻は繰り返される孟獲との死闘の歳月で
続き物ではあるが、5巻だけ取り出して読んでも、話は完結する。

孔明率いる蜀軍は、何度も孟獲との闘いに勝ち、
そのたび孟獲を捕虜にするが、すぐに解き放ち、
孟獲は命を助けられたとは思わず、愚弄された、とますます怒り、
盟友の軍を借りて、孔明と対決する。

木鹿、という酋長は人間の兵士のほか、
あまたのトラなどの猛獣と、象の軍団を引き連れて助っ人にやってきた。
人間との戦は何度も経験している孔明が
猛獣相手に繰り広げる戦法はインディー・ジョーンズもびっくり、である。

そのあと、もっと手ごわい、刀も矢も通さない帷子をつけた軍団が出てくる。
結果はあまりにも凄惨だが、わなを仕掛けていく過程はわくわくする。
本当にこれが1800年も前の戦闘か?と
ハリウッド映画並みの展開にひたすら感心するが、
先日TVで
「成都では諸葛孔明の発明したものを観光土産に売っている」
という番組をやっていたから
まったくの作り事ではないと思う。
しかし、なぜ中国は科学の先進国にならなかったのだろう?・・・・・

5巻まで江森三国志を読んできて、
途中から諸葛孔明の恋愛場面には食傷気味になるが
これを除けば、話はわかりやすく、かつ緻密で
創作ではあっても歴史上の人物が上手く描けていると思う。
「誰がどこの国で何をした」がひじょうによくわかる。
(中国は同姓が多く、名前を羅列されたのでは誰が誰かわからない)

この5巻、孟獲の兄弟や妻もいい役どころで、「義理人情」の世界を形成し
これも映画にしたら十分、見所になると思う。

「レッドクリフⅡ」もあと一月ぐらいで公開になる。
それまでに少しでも三国志の情報を得ておこうと読み始めたが
小説は3つほど同時進行で読み、新書や人物事典なども借りてきて
もうずっと三国志漬けである。
陳舜臣さんの「秘本三国志」も江森三国志も面白いが
でもやっぱり一番はマンガの『劉備クン』かな・・・・037.gif
by nyanko715f | 2009-03-19 01:58 | 本はともだち | Comments(0)

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