また一人やめた・・・

教室の生徒の様子は、親はまったく知らないことがあるから
どうしても話しておかなければ、と思うときには手紙を書く。

手紙は精一杯の誠意で書いている。
どうしても進まない子がいる。
2年以上、毎週来るには来る。
バイエル上巻、バーナム2巻あたりまでは普通に進んだ。
だけど、バイエル後半と、同じ程度の楽曲になってからはまったく進まない。
毎週同じところを間違い、同じところが弾けず、1曲に時間がかかる。
家で練習してくる様子は全然ない。
毎回、最初の音を迷っている。どころか、とんでもない音から弾き始める。
それも毎回、だ。

仕方なく片手ずつやると、それはどうにか弾ける。
両手では片手で出来ていたこともできなくなる。
それは練習が必要だから当たり前なのだが、
出来ないところを少しでも克服しよう、という気は全然見えない。
音がわからなければ、指の番号を打つか、ドレミを書くか、
自分で楽譜を読む工夫をしないと弾けるようにならないよ。と何回言っただろう。
だけど、わからない音の階名を書いたことはなく、いつも迷って、あげく違う音を抑える。
少なくとも、バイエル上巻では音が読めていた、と思うが。
ここで(教室で)弾くだけでは追いつかなくなった、というのが正確なところだと思うが。

親も、(後から聞いた話だが)家で練習しているのを聞いたことがない。という。
来るだけ来て、それで進んでいく、と思われている。
来たらなにかしらの成果はあるかもしれないが、しかし、1週間30分でどれほど進む?
しかも、次回はまた同じことをいう。

それでも、出来ないわけではなかった。
この子はこの子なりに努力している(と私が思うように努力した)ところはあった。
あとは「うまくなりたい」「がんばってみたい」というやる気スイッチが入ってくれるのを気長に待とう、
と思っていた。

そのことを手紙に書いた。叱ってくれ、とか、激励してくれ、とか言っているのではなく、
家でやらない分、進度はひじょうに遅い。それでもいやでなくやれば、いつかなにか気がついて、
ほかの勉強にもきっと役に立つ。と書いた。

しかし、親からは、「家族で話しましたが、練習する気がなく、これ以上やっていても無駄以外の何物でもないので辞めます。」といってきた。
手紙など書かずにいれば、進まなくともやめることはなかったのではなかろうか?
毎回同じことの繰り返しでも続けていればなにかにはなる。
辞めたらそれまでだ。
手紙は書かなければよかったのか?
親に様子を知らせる必要はなかったのか?・・・・

向いてなかった・・・・と断定するのはたやすい。
取り組み方も多くは本人の性格によるものだと思うが、それでも、レッスン当初からもっと練習の必要性を説いておけばよかった、習慣をつけておくべきだった、ここは練習してきたものを見せるところだ、とはっきり言っておけばよかった・・・・と後悔することが多々ある。
レッスンの途中で切れそうになったことが何回もある。
いっそのこと、切れてしまって家でここまではやってこい!
ときっちり言ったほうがよかったのでは?とも思う。
しかし、極端に記憶力が劣っているのを懸念するのと、まことに精神が弱そうで、
強いことが何もいえなかった。
それは私の思い込みに過ぎないのかもしれないが、
こういう子供に出会うとこの子はほかの勉強はどうなっているのだろう?と思う。
そして、何か好きなことはあるのか?とか聞いてみる。
だいたい、「好きなこと」がない子が多い。

家で(一人で)練習ができる、ということが才能だ。と以前からずっと思っている。
やれば出来る、というのは思い込みでしかなく、「やる」ということが出来ることなんだ。
それをどこまで他人がやらせられるのか?やる気スイッチを探せるのか?

今回ひしひしと思った。

この数ヶ月、さまざまな理由で生徒が辞めていった。
教室の出入りがあるのは当たり前のことなんだろうが
所詮趣味の世界で、余裕がある人しか出来ないことなんだろうか?
続けるのは難しい。

だから・・・・せめて私は弾かない時期も含めてだけど、
50年以上ずっとピアノと来たことは縁があったのだと思う。
向いているとかいないとか、そんなことを言っている場合ではなくて、
やらなければならない。と自分に思わせているだけでもピアノとつながりがあるように思う。

長年教室をやっている人はいろんな経験があるだろう。
いろんな生徒が出たり入ったりしたことだろう。
自分も反省しながら、それでも自分は自分で、くさらずに、こつこつやっていこう。
Commented by 通りすがり at 2019-09-20 21:50 x
通りすがりで失礼します。
まるで私のような生徒さんですね。私も30年前習っていましたが全く練習しませんでした。理由は...
例えばバイエルの60番を苦労して練習してできたところで次はどうせ61番。その為に大変な譜読みをする気にはならず、全く面白いと思うことなく無感動のまま辞めました。当時の講師は一体何を目指していたのかと思います。
最近youtubeで小学生位の男の子が発表会らしき場で、ドラクエやファイナルファンタジーの曲を弾いているのを見かけます。40歳になって初めてピアノのすばらしさに感動しています。今の子供がうらやましいです。あの時、時間があって物覚えの良い小学生の時に、私もちゃんと教えてほしかったです。

>この子はほかの勉強はどうなっているのだろう?と思う。
手前味噌ですが、私は成績は優秀でしたし現在の社会的地位も中の上くらいですので、決して怠惰な性格だったとは思えません。

大変失礼を承知で結論を申し上げますが、本件(私の場合も含めて)は、働きかけ興味のある曲の与え方の問題だったのではと考えます。
Commented by nyanko715f at 2019-10-09 21:23
コメント、ありがとうございます。

先生との出会いはピアノに限らず、どんな分野でも習う側には大きく影響します。
教材、子供の希望、いろんなところから考えなければいけないですね。
by nyanko715f | 2013-08-26 23:30 | ピアノ教室 | Comments(2)

ピアノ練習日誌を中心に、雑多な話題を繰り広げます


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